2020年12月7日

はじめにお断りしておきますが、
➀決まりがないことは、決まりはないと申し上げます。例えば「仏壇やお墓はどちらに向けるのが正しいのか?」といったご質問に対してです。
➁そのかわりご回答できるものについては、出典や根拠を示してお答えします。

では、こんな疑問から始めましょう。
質問「お仏壇屋に行ったら、葬儀の際の白木位牌は“○○霊位”だけれど、四十九日に差し替える本位牌は既に成仏したわけだら“霊”という字を外して“○○位”と書き改めなきゃだめだと言われたんだけど、本当ですか?」
回答「本当ではありません」
理由「仏事に使う位牌は、中国で生まれました。宋から元の時代に儒教をまねて作られたとされます。決まりごとの初出は元代の『禅林備用清規』で“新円寂○○上座覚霊”と記せとある。また、同時代の『幻住庵清規』には“○○禅師”あるいは“○○公”と書けとある。
日本で位牌が普及したのは江戸時代・綱吉のころで、『小叢林略清規(禅宗の葬送次第)』には“新物故○○霊位”と書けとある。でも実際の江戸時代の位牌を見ると“○○位”となっているものも多い。
というわけで、結論は“○○霊位”でも“○○位”でもどちらでも良いとなります。四十九日からは“○○位”でなければいかんという説に根拠はありません。霊と聞くと、どうしても霊魂や幽霊を思い浮かべてしまうのかもしれませんが、霊には尊いという意味が含まれているのです」